【フィラーレ通信】ミネルバ大学記事から学ぶこと
Filare通信 2021年10月29日号
■超難関、合格率2%未満
10月も終わりに近づきました。
皆さんは、「ミネルバ大学」をご存じでしょうか?
最近はかなり話題になっているので日本での知名度も上がっていますね。
NHKラジオビジネス英語でも取り上げられたり、東洋経済ONLINEでの記事がとても興味深かったので
少しご紹介したいと思います。
創設者のベン・ネルソン氏は、アメリカのエリート大学の現状を色々な側面から問題提起し、
コロナ禍の随分前からオンラインでの学習形態を推奨、
世界7都市(サンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北)を
キャンパスとした独特の教育を提供しています。
実際の校舎、施設、図書館、食堂などは無く、それぞれの都市でパートナー企業やNPOで学ぶスタイル。
唯一こだわっているのは、各都市での学寮。
コストを最大限に削減し学費の低廉化を目指し、同質的な人材育成は不要としています。
かのハーバード大学を蹴って、こちらを選ぶ学生もいるらしく、合格率は2%未満という超難関大学です。
■大学に「社会」を挿入すべき
この仕事をさせて頂いていて、いつも思うのはこのことです。
大学で学んだことが、社会に出て活かされてないケースが多い。
ネルソン氏曰く、アメリカのトップ大学などでも、徹底した討論、そしてオンライン化は進んでいる。
しかし、現場のプロジェクトで現実的課題に直面することと、文献と概念的な議論の行き来することでは
雲泥の差がある。
学外の俗世間からは切り離された「理想の空間」としてのキャンパスやその教室、
その「理想の空間」の化けの皮がはがれるという表現を
前述の東洋経済ONLINEで記事を書いた
吉見 俊哉氏(東京大学大学院情報学環教授)は使っています。
「大学は何処へ」の著者でもあります。
■NHKラジオビジネス英語のインタビュー
NHKラジオビジネス英語のベン・ネルソン氏自身の言葉も大変興味深いので抜粋します。
The ultimate goal of education is to produce individuals who have the ability to know
what to do in situations they’ve never encountered before.
(ミネルバ大学の究極の目標は、初めて経験する状況でもやるべきことがわかる人材を生み出す
こと)
”far transfers”と呼ばれる学びの分野では、ある状況下で学んだことを、別の状況下で
応用できる能力が養成されるとのこと。
一般的な”試験”はなく、”リアルタイムでの人とのつきあい方”、また”それが納得できるものかどうか”
この2つが学生を評価する方法だとか。
なるほど、と大きくうなづきました。
そして、最難関のこの大学が入学志願者に求めること
1.高校での成績がよいこと(仮に高校の勉強がつまらなくても、努力を惜しまないということ)
2.認知能力があること
3.純粋な勉学以外で時間とエネルギーを費やし実際に形に残るような印象的なことをしてきたか
そして、”一定の英語力があること”
リアルタイムでペースが速い英語を理解できないと、はじまらないということです。
ミネルバ大学の記事から学ぶことは多く、これからの教育の在り方、そしてどう自分が足元をみて
努力を続けていけるか、そんなことを考えさせられました。
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