【フィラーレ通信】同時通訳者の著書から学ぶこと
Filare通信 2022年2月2日号
■同時通訳者・袖川裕美さん
2月になりました。
今日は、弊社のシャドーイング学習法動画にもご出演頂いた同時通訳者の袖川裕美さんの
ご本を通じて、英語学習について少し考えてみたいと思います。
以下弊社の動画が掲載されているウェブサイトのページです。(体験レッスンのご紹介のぺージ、2つ目の動画の後半に登場)
著書は、
「放送通訳の現場からー難語はこうして突破する イカロス出版 袖川裕美」
この著書の<はじめに>を読むと、放送通訳(同時通訳対応)の現役通訳者は、およそ50-60名、
その小さな集団の中の一人である袖川氏は、アメリカ大統領を筆頭に政府要人、経済界、スポーツ・エンタメ界などと
その対象は幅広く、彼女の言葉を借りれば、<25年のベテランで何でもござれと思われがちだが、
せいぜい大きな破綻はしないくらいのことはできても、今もなお訳に窮し、戸惑い、瞬間健忘症に襲われ
格闘している>と!
時差通訳であれば、まだ準備に若干の余裕があるかもしれませんが、瞬時に英語を聴いてそれを和訳する同時通訳の
技術は並大抵のことではありません。
著書の中では、事前資料をもらえるとは限らず、通訳の最中に資料が入ってきたりする場合もあり
苦労は絶えないようです。
■同時通訳者も闘っている!
英語業界にいると、<ちょっと訳してくれる?>というような依頼を受けることがあります。
実は、この<ちょっと>というのは無理なんです。
日常会話程度のことならまだしも、ちゃんと訳すためにはそれなりの準備が要ります。
英語の達人なら何でもわかっているというのはありません。
袖川氏の著書を読むと、辞書にも載っていない言葉をあらゆる手段を使って調べたり、
仮に辞書に載っていても、言葉はその時々に変化したりするので、訳出には配慮が要ることがわかります。
どんなに語彙数があっても完璧ということはなく、いつも闘っている、その最前線にいるのが
放送通訳(同時通訳対応)者ということになります。
何が飛び出してくるかわからない世界では、達人ほど準備には余念がないともいえるのです。
もう1つ<おわりに>から、これも彼女の生の声。
<面白いと思ったのは、訳に詰まったときの自分の思考や心の動きです。心のうちを
拡大鏡で覗き込み、スローモーション化するように描写しましたが、実際には秒単位の出来事なので
こうしたプロセスをゆっくりたどるわけではありません。ですが、ほんのわずかな間に、意外なほど
多くのことを思い煩っているということも、今回の作業でわかりました。>
これもギリギリで闘っている人の感覚から出た言葉です。
殆どの人は、同通ではありませんが、会議に出たり、プレゼンテーションの場で質問に答えたり、
と各現場に身をおかれているわけで、そこで思い煩った経験、苦労の瞬間の感覚やどうにか訳した実績、
そういった積み重ねが最終的には自信につながる。
たまには思い返したりノートに書き留めたものを見たり、
その繰り返しなんだと強く感じました。
どんなに高い英語レベルであっても、一学習者であることに変わりはないという姿勢、
謙虚に懸命に取り組む彼女の生き様に心を打たれ、自分の英語学習も見直していきたいと
思った次第です。
■その袖川さんが、認めたシャドーイング学習法
前述の袖川さんは、大学で教鞭もとっていて未来の英語の使い手の育成もしています。
その袖川さんと、ある時出会いがあり、弊社のシャドーイング学習法を認めてくださり、
動画ご出演の運びとなりました。
英語学習を入口を、シャドーイングにすることで障壁が低くなる、
まずは英語のネイティブの音声を真似することで文字のみからの脱却をはかることができる。
外国語をしっかり学んでいく学生さんにも多いに推奨されるものだとおっしゃって意気投合しました。
同時通訳も勧めるシャドーイング学習法、
皆さんも始められてはいかがでしょうか?