【フィラーレ通信】英語4技能狂騒曲

Filare通信 2019年6月25日号

■予想してましたが、やはり…

雑誌Wedgeは、新幹線で読むにはちょうど良いボリューム。

今回は「迷走する日本の英語改革」なる記事があり、何となく

中身が予想されるだけに嫌な感じでしたが、読み進めました。

英語入試センター試験の後継となる「大学入学共通テスト」に英語4技能を測る

民間業者の資格・検定試験が本格的に導入される、これに関する現状とさまざまな意見。

2023年度までは試行期間、大学入試センターが作成する英語も継続されますが、

ここにきて、この民間試験導入に異論を唱える大学が続出、受講生側の混乱も

見られるといいます。

都市部と地方の受験開催回数の違いの問題や、受験料の負担の問題もある。

記事によると、東京大学、京都大学、名古屋大学は、出願資格としては使うものの

その点数は合否判定には使わない、

岡山大学は昨年7月の段階では加点方式で合否に利用すると発表したが

今年3月には方針変更して合否には使わないと決定、

広島大学は、民間試験の成績が良ければ、「共通テストの英語を満点とする」とし

大学によってバラツキがある。

私立大学でも、早稲田大学は積極的(既に3学部で利用実績有)、慶應大学は利用しないのだそう。

(最新情報詳細は、正式な大学からの情報をお調べ下さい)

■大学入試で問われる能力って?

大学入試がペーパーテストでは

語彙や文法などの知識が問われる問題が中心であったため、当然その対策のための授業になります。

学校教育で育てたい力と、入試が問う力が十分対応できていないものを

小・中・高、そして大学入試まで一貫して「4技能の力をバランス良く育てる」となり、

でも大学入試では全ての大学が自前で4技能を測る試験を行うことが困難となり

民間試験の力も借りるという流れだったと思いますが…

「大学入試で問われる能力」に十分な議論がされないまま、前に進めている現状では

当然のことながら混乱、まさにタイトルの”英語4技能狂騒曲”となるわけです。

■さまざまな意見

私立武蔵高等学校中学校校長の、

「そもそも大学入試で英語の4技能を課す意味は、その後の大学教育を受ける際に、

必要かどうかではないか。まして実施上の課題や格差拡大の懸念が示される

現状で、スピーキングテストをナショナルテストとして受験生に一律に課すべきかどうか、

あらためて冷静に考えるべきではないか。」

は、スピーキング試験って大切よね、民間試験もいいんじゃないという推進派に

待ったをかけるご意見。

岡山県の県立高校の英語講師などは、運営上の問題も指摘。

「スピーキングを新たに取り入れようとしても、現状では英語授業を増やす枠がない、

従来の読み書きを削って、基礎ができていない生徒にスピーキングを取り入れても無理があり、

本末転倒になる。」と。

一方京都市立堀川高校の英語教諭は、

「以前から4技能に対応した英語の授業を行っているので、民間の英語試験導入

への対応は特にしていない。」とシンプルにコメント。

■ある大学院教授ご意見

東京大学大学院教授の阿部公彦氏は、

「過去20-30年の文科省の英語政策が疑念だらけなのに、

さらに誤った方向に突き進もうとしている、史上最悪の英語改革」と。

阿部氏の言葉によれば、「うわすべりのオーラル英語偏重により

学生の基礎力はがた落ちで、単語も知らない、構文ルールもわからない。」

「4技能」「バランス良く」と念仏のように連呼しているだけで具体的な方策がみえないと言及。

「スピーキング」の向上が求められていることは無視できないが、スピーキング試験を

受講生全員に課す必要性もないし、効果もないとピシャリ。

■専門家のご意見

「必要なのは日本語の思考力、暗記で会話能力は伸びない」(鳥飼玖美子氏)

「9割の日本人に英語は不要、目的ある学びこそビジネスで生きる」(成毛眞氏)

のような尖ったコメントには、ビジネスや現場で闘った人独特の息吹が感じられます。

大学生のその先にあるビジネス場面対応経験者の意見も参考に取り入れてほしいと

個人的には思うわけですが、皆様はどんなご意見をお持ちですか?

英語4技能狂騒曲…

私たちの時代で終わりかと思ったら、まだまだ混迷は続く…といったかんじです。

私見ですが、

国の施策は平均的視点、公平感という意味ではとても大切で、しっかりとした方針を出してほしいと思いますが、

そうそう迷走に付き合ってもいられないわけで、自ら自分と英語の楽しい接点をみつけ

情報に敏感になりながら進めていく。(学生の方は、親御さんと相談しながら)

4技能のバランスとかいう前に、まずは自分の強味を見つける!

(例えば自分が英語音に強いならそこを強化してその後文法などの弱点補強、

文法や語彙が強いならそこを強化してその後音を弱点補強 等)ということで、

どこの部分か、グっと頑張ってみてバランスを崩してみると

足りない部分も見えてくる!

バランスの前に、アンバランス要???

皮肉なことに、皆がこだわっている点数とか受験とかを

まずはとっぱらった形で考えみると

案外将来に向けてのヒントがあるのかもと思ってしまうのは、私だけでしょうか???

英語学習においても、自ら考え動く「自立」がキーワードになりそうなのは確かなようです。