【フィラーレ通信】カタカナ英語の是非 「ハゼゴン」How is it going ?
Filare通信 2020年5月3日号
■カタカナ英語といっても大きく2種類ある
「カタカナ発音などは邪道な学習法にすぎない!」
と、本メールマガジン読者様の多くが思っていらっしゃるのではないでしょうか?
いわゆるローマ字表記からのカタカナ英語は、
animal アニマル
water ウォーター
になり、このままネイティブに言っても通じないということは多々あります。
「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」の著者、池谷裕二氏(東京大学薬学部教授、脳研究者)は
この本でとても面白い研究をされています。
ご興味のある方は、講談社から出ていますので、お読み頂ければと思いますが、
一言で言えば、
animal アニマル → エネモウ(エアネモウ)
water ウォーター → ウワラ
などと、<耳に聴こえるままの発音を素直に書くとこうなる>という類のカタカナ英語は
自分の発音がネイティブに伝わらない学習者にとっては、ある意味有効ではないか
ということです。
表題の「ハゼゴン」How is it going ? も聴こえたままの例です。
1)ローマ字表記からの伝わらないカタカナ英語 と
2)耳に聴こえるままの発音を文字に落とした伝わるカタカナ英語
まずは、2種類あると認識しなければなりません。
■かのジョン万次郎も…
上記の
2)耳に聴こえるままの発音を文字に落とした伝わるカタカナ英語
は、最近流行りの洋楽をネイティブらしく歌うというようなものもありますし、
たしか、何かのCMでもそんな類のものがありました。
かのジョン万次郎も、(漁に出ていて遭難し捕鯨船に助けられアメリカに渡るという
数奇な運命をたどりましたが)、英語を耳で聴いて育った彼は、英語に聴こえるままに
丹念にカナに置き換えていったそうです。
ご興味のある方は、
「ジョン万次郎の英会話」乾隆氏著 Jリサーチ出版
でお読み頂ければと思います。
メリケン粉は、Americanが転用されたもので、
ヘボン式のアメリカンとは異なります。
英米人に伝わるのは、アメリカンではなく、メリケンだという
考え方です。
さらに、
smallは、「相撲」、I get offは、「揚げ豆腐」
What time is it now ?は、「掘った芋いじるな」(これはよく聞きますね)
に迄至ると、カタカナより奥深い世界に入ってきてしまうなと(笑)
思いますが、これらもジョン万次郎が教えたという説があります。
幕末からの時代を生き抜くために、どうしてもコミュニケーションの道具として英語を
使わなければならなかった悪戦苦闘ぶりが感じられます。
■発声技巧の言語
冒頭の池谷裕二氏は、著書の中で
英語とは「発声技巧の言語」、話し手の発声能力に依存した言語、
一方日本語は、「推理の言語」、聴き手の想像力を頼りにする言語
と言及しています。
発音数の差が日本人が英語を学ぶ上で決定的な障害になっていることに触れ、
あくまで英語初心者のための実用的な克服法として、
2)耳に聴こえるままの発音を文字に落とした伝わるカタカナ英語
を研究してこられました。
私見としては、基本は、英語の発音はやはり英語として学ぶのが良いと思います。
がしかし、英語の発音がうまくできなくて困っている、なかなかネイティブに通じない
という英語学習者が煮詰まってしまう前に、こういったアプロ―チで楽しく進めることができるのであれば、
少し取り入れてみるのも有りかなと思いました。
そもそも日本語のカタカナでは英語の音は表現しきれませんので、
近い音での認識になりますが…
皆さんは、どうお考えになりますか?