【フィラーレ通信】あなたは記憶力がよいですか?
Filare通信 2022年4月22日号
■「あなたは記憶力がよいですか?」という質問に対して
少しご無沙汰しました。
今日は、突然のご質問で失礼します。
「あなたは記憶力がよいですか?」
この質問を受けた時、「えっ、どういった記憶力ですか?」と確認された方は、なかなか良いセンスの持ち主です。
京都大学・霊長類研究所で研究対象となったチンパンジーのアユムは、数字を記憶する課題において人間よりも優れた結果を出しています。
この課題は一瞬だけランダムに表示される1から9の数字の場所を記憶するもので、
アユムの記憶力は人間のそれよりも格段に高いことが証明されたのです。
この場合の記憶というのは、情報をカメラで記録するように一瞬で頭に焼き付け、それを保持して再現できる能力のことで、
「学びとは何か」の著者である、慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみ氏によれば「瞬間記憶型」記憶ということになります。
(以下、今井氏の著書内の言葉を適宜引用させていただきます)
■記憶力の型には少なくとも4つある
チンパンジーのアユムの記憶が 、1)「瞬間記憶型」なら、あと3つは何でしょう?
2)「記憶力世界選手権チャンピオン型」
3)「シャーロック・ホームズ型」
4)「将棋プロ棋士型」
だそうです。
面白いですね。
詳細を知りたい方は、今井先生のご本を読んでいただければと思いますが、
簡単に言うと、(1)は前述済
2)例えば、1時間で何桁の数字を覚えたという類の、いわば意味のない情報に意味付けをして記憶すべき情報を取り出すもの
3)普通の人が全く気に留めない事実に気づき、記憶すること
4)将棋のように、膨大なデータベースから目の前の局面を乗り切るために(意味のあることのために)必要な手を一瞬にして見つけること
ひと言で記憶力といっても大別するとこれだけあり、それぞれでその意味合いは変ってくるということです。
とかく日本の受験制度では、1)2)的な要素で問われる部分が目立ち、実社会に出ると急に3)4)を求められる。
したがい英語学習に関しても、何の脈略もないおびただしい数の英単語を丸暗記して試験を乗り切り、
自分はまあまあ英語ができると思って仕事をしたら全然通用しなかったという話は、よく聞く話なのです。
■ドネルケバブのような知識の貼り付けに警鐘
皆さんは、ドネルケバブってご存じですか?
中東地域などで食べられているもので、肉片を回転式の機械にペタペタとつけて焼く料理らしいです。(あまり詳しくありません)
語彙の学習についていえば、
今井氏は、このドネルケバブの肉片を貼り付けていくような知識のつけ方に警鐘を鳴らします。
語彙知識の断片を寄せ集めても、いかんともしがたい、使えるようにはならない。
言語学習の場合、あまたの要素が互いに意味を持って関係づけられたシステムだからです。
これは、英語のレッスンで作文をしていただくと、顕著にわかります。
例えば「含む」という単語は、英語では、include, contain, involveなどがありますが
単に、これらの単語を「含む」という日本語中心で記憶していると、作文をした時にとても変な英作文になってしまいます。
これもドネルケバブの肉片的な知識の貼り付けゆえの1つの例かと思われます。
■「学びとは何か」
「学びとは何か」の著書は、勿論「記憶」だけに関する内容の本ではありません。
生涯learnerである私たちに、短絡的・短期的・断片的に学ぶのではなく、
学びは、あくなき探求のプロセスであることを事例を出して教えてくれる本です。
言語の習得のみならず、あらゆる分野に通じるものがあります。
本日のメルマガは、同著が棋士について触れた文章で締めたいと思います。
<…つまり棋士が棋譜を覚えるのは、私たちが通常イメージする「丸暗記」とは全く違う。
暗記するために暗記するのではなく、一手一手についてその意味をとことん考え、精査する。
心血を注ぎ、時間をかけ、一手一手の意味とその流れについて自分で納得が行くまで何度も繰り返し並べていく。
その結果、棋譜が自然と頭に叩き込まれるのだ。>
あなたの一手一手とは、仕事で出くわす現場でしょうか?、試験問題でしょうか?
今、もし何かに行き詰っていたら、思い込みをはずし原点に戻って「学びとは何か」について考えてみるのも1つかもしれませんね。
■身体化された手続きの記憶を作るために
今井先生も、おっしゃっていますが、英語学習において「スキルの自動化」は効果的です。
弊社は長年、その部分をシャドーイング学習法で強化しています。
今ある知識を知識にとどめず、「使える知識」に転じていく、これが今まで努力してきた人にこそ経験してもらいたい学習法です。
ご自宅に居ながら、シャドーイングの学習法を学ぶチャンスです!
発音矯正や英作文も同時に実施していきますので総合力が伸びていきます。
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※昨今の状況を鑑み、オンラインレッスンをご提供しております。
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